原子レベルのミクロ(微視的)な物理系では重ね合わせ・もつれ合いといった古典物理学の常識とはかけ離れた量子力学特有の状態が発現しています。 超伝導電気回路を極低温・超低ノイズ環境下におくことで、超伝導電気回路というマクロ(巨視的)な物理系においても量子力学特有の状態が発現します。 このような超伝導電気回路を超伝導量子回路と呼びます。本研究室では超伝導量子回路上に発現する量子力学特有の状態を自在に扱うことを目指しています。
Si基板上にAl薄膜で作製した超伝導量子ビット。(左図)
極低温・超低ノイズ環境下で超伝導ループに「右回りに電流が流れている」状態と「左回りに電流が流れている」状態との重ね合わせ状態が発現します。超伝導量子ビットは水素原子と比べて10000倍以上大きいです。超伝導量子ビットは設計可能であり、集積化が容易なことから、量子コンピュータの構成要素として大きな期待が寄せられています。
研究内容の概要についてお話しします。 超伝導量子ビット、超伝導共振回路、超伝導導波路を組み合わせて、超伝導量子回路を設計します。 次に、クリーンルームで超伝導量子回路の作製を行います。 できあがった超伝導量子回路を、希釈冷凍機を使って極低温に冷却します。 マイクロ波信号を使って超伝導量子回路上に発現する量子状態を制御し、読み出します。 このようにサンプル設計・作製・測定・データ解析まで全て行うことが出来ます。
具体的に研究の流れについてお話しします。 超伝導量子回路の測定のために、マイクロ波測定用の配線や、パーツの設計を行います。 また、極低温に冷却するために希釈冷凍機の運転を行います。 超伝導量子回路を作製するために、クリーンルームでの作業も行います。 超伝導量子回路設計には、電磁界シミュレータやCADを用います。 プログラミングも様々な場面で必要です。 超伝導量子回路設計のための数値計算、測定装置制御用のプログラム、 測定データ解析等に用います。 論文執筆、研究発表も行います。
研究室の装置について少しだけお見せします。
![]() 希釈冷凍機 |
![]() 希釈冷凍機(内部) |
メインの装置は無冷媒の希釈冷凍機です。これを使って超伝導量子回路のサンプルを10 mK前後の極低温に冷却します。
外見は白い円柱なのですが、全部で4重のシールドを取り除くと、内部は図のようになっています。マイクロ波測定用のケーブルがぎっしり配線されています。
マイクロ波信号の入出力を行うため、様々な測定装置を使います。
他の装置につきましては、今後紹介していく予定です。
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